一貫性の法則

一貫性の法則

一貫性の法則とは

自らの行動や発言、態度、信念などに対して一貫したものとしたいという心理のことを表すのが「一貫性の法則」。
例えば、ラーメンを食べ行って、美味しくなかったとしても「せっかく食べに来たんだから、すべて食べよう」と思うことや、
3年付き合った恋人に対して、「結婚とかまじで考えられないけど、もしかしたら可能性あるかもだから付き合っておこう」なども、
一貫性の法則と言えます。

人は自分の言うことや行動に矛盾がないように行動しようとするため、この法則を理解し、活用していくことで
ビジネスシーンや恋愛などのシーンに活用・応用が可能です。

単純な法則ですが、
本記事では、事例をふまえながら少しでも読者の皆様に有益な情報をお伝えします。

一貫性の法則が生まれる理由・原理

一貫性の法則が生まれる理由(原理)は、
人間は自分が一度『肯定したこと』・『決めたこと』について、無意識に”一貫性”を持たせる心理が働くため。
なぜ無意識に一貫性の心理が働くかというと、人は根本的に「すべての物事を深く考えて意思決定しようとしていない」というのが、
一貫性の法則の原理と言えます。
もっともらしいことを選択してしまう=合理的に考えることを諦めてしまうと言えるかもしれません。

そのため、自分の考えとは別に、
自分はまともな人間だと思われるために、あるべき論としての虚栄心から、理性的な自分を演じることもと
一貫性の法則に当てはまります。

一度ついてしまった嘘を、バレていること、今謝ったほうがいいと思っているのに
嘘を突き通すことも、自分をまともな人間に見せるための、一貫性の法則が働いていると言えます。

ここからもわかるように、
私たちの、日々の生活の中には、常に一貫性の原理が存在していて、
私たちの意思決定や発言、行動一つ一つに”一貫性”の原理が関係している可能性が高いのです。

一貫性の法則の具体例①「選択の機会を減らすため」

1つ目は選択の機会を減らすためです。現代社会では非常に多くの選択を迫られますが、その多くが大した問題ではありません。

例えば「今日着る服」から「明日の晩ごはん」などキリがありません。
そこで「こういう時はこうする」と無意識のうちに自分の行動をパターン化して一貫性を持たせます。
そうすると煩雑な選択を迫られる機会が自然と減ります。

周囲から「一貫した行動をする理性的な人だ」と思われたいから、というのも大きな要因でしょう。
発言が二転三転して一貫性がない人は基本的に信頼できません。
理性的な人間は信頼されやすく、信頼度が高いほど様々な面で有利に物事を進めることができます。
それらの要因により、無意識のうちに芽生える虚栄心が一貫性の法則の働きに大きく影響しています。

筆者の見解
人間は、難しく考えることを嫌うことが多い。
だからこそ、納得感があれば、この一貫性の法則が適用する傾向が強くなる。
例)クーポンを獲得した→安く買える→今この店舗は最安値に挑戦中→今クーポン使えるなら、一番オトクじゃん?→購入しよっ
これも、一貫性の法則。

一貫性の法則の具体例②「信用できる人間だと思われたいから」

もうひとつは「信用できる人間だと思われたいから」。世の中、ブレない人、スジの通った人は尊敬されます。
逆にいうと、そうじゃない人は軽蔑されたり無視されます。これ、集団で生きる人間には耐えがたい苦痛です。
目立つのは好きじゃなくても、信用はされたいですもんね。
そんな私たちの「一貫性好き」はヒーロー/ヒロイン像に強く反映されています。
アニメでも実在の人でもいいです、あなたの好きだったヒーロー/ヒロインを思い浮かべてみてください。
発言や行動、態度、信念が一貫していませんでしたか? 命がけで私たちを守ってくれませんでしたか?
悪役だって同じです。深い闇を抱え人間を絶望の淵へ追いやろうとするその決意は、決してブレることはないのです。(ヒーローに負けて日和ってしまうような悪者は本物じゃない!)
私の好きなヒーローたちも、一貫性に関してたくさんの名言を残しています。少しだけ紹介しますね。

■メジャーリーグ現役レジェンド イチロー選手
「第三者の評価を意識した生き方はしたくない。
自分が納得した生き方をしたい」

一貫性の原理を示すその他の例

一貫性の原理を示す例としては、以下のようなものが挙げられます。
・1巻が面白いと思って購入したコミックの2巻が面白くなかったけど、何となく3巻以降も買い続けてしまう
・良い人だと思って付き合い始めた人が、何かとすぐキレる人だと分かったけど「でも良いところもあるから・・・」と付き合い続けてしまう
・何となく見始めたドラマが最初の30分で「面白くない」と感じても、「せっかくここまで見たんだから・・・」と最後まで見続けてしまう
また、
・自分の出したアイデア(企画)は意地でも曲げない
・一度怒り出したらなかなかその怒りが収まらない
といった人もたまに見かけますが、こういったケースにおいても一貫性の原理が働いていると考えられます。
(ちなみに、前者のケースでは「IKEA効果(=自分の作ったものには価値があると思い込む心理効果)」も働いていると思われます)

一貫性の法則の具体的な例

一貫性の原理を示す例としては、以下のようなものが挙げられます。

1.連続ドラマの初回が面白いと思って、第二話は全くおもしろくなくても、第三話をついつい期待して見てしまう
2.通販番組をたまたま見ていて「だれでもラクに痩せられる」の謳い文句でハッとして、「今から1時間以内の注文でさらに1万円引き」の畳み掛けの言葉によってぐっと来て、「今度こそ痩せる!」と決心して商品を購入してしまうこと
3.反対に、上記通販番組をたまたま見ていて、本気で痩せたいと思っているが、「こんなの買っても意味がない」と自分を言い聞かせること
4.初回のデートで、性格的に絶対にないな、と思っていても、相手のルックスが良いなどの理由(正当化)をつけて、2回目のデートをすること

特に、2・3は、相反する内容を記載していますが、
どちらも一貫性の法則が働いています。

2に関しては、『自分は痩せたい』と思っていることを、通販番組の内容によって、『これなら痩せられる』という自分の意思を正当化して、『購入』という行動につなげています。
3は反対に、『自分は痩せたい』と思ってはいるが、『こんなの買うやつはバカだ』と自分の意思を正当化して、『買わない』という行動につなげています。

ここからもわかるように、一貫性の法則というのは、あくまでも自分の意思は『理性的』だと思うことから生まれる心理と、その後の行動の一連の流れです。
この購入が理性的なのか、購入しないことが理性的なのか、決めるのは本人である、ということが最も重要なポイントになります。

一貫性の法則を活用したいのであれば、どのように誘導したら『YES』に導けるのかを、ターゲットに合わせて設計することが重要となり、
「YES」を一度でも獲得出来れば、最終の目的を達成させる可能性がぐんっと上がる
と言えます。

「痩せたいと思っていますか?」→はい
「痩せるための方法があれば実践したいですか?」→はい、楽な方法なら
「楽に痩せる方法があればやりますか?」→…はい
「実は楽に痩せられるダイエット食品を販売しているのですが、興味ありませんか?」

以上のように相手の発言を肯定しやすい質問から誘導していきます。人は自分の発言に矛盾なく行動したいため、
「痩せるために商品を購入する」という判断を促せます。そうした人間の心理を応用することで、消費者のニーズと商品を一致させて魅力的に訴求できるのです。

ビジネスで使える一貫性の法則

ビジネスにおける一貫性の法則が最も活用できるタイミングは、
『顧客が商品を購入することを決めたとき』です。

代表例としては、新車を購入時に、オプションとしてカーナビやフロアマットなどの関連商品を購入させる手法。
「お客様が購入を決めた後」は、財布の紐がゆるくなる心理が働きます。
これは、購入という意思決定の後に、もっともらしいオプションの提案を受け入れてしまう、いわゆる一貫性の法則の当てはまります。

上記以外では、
・電話注文の際に、おすすめ商品を案内することでクロスセルにつながること
・牛丼注文時に、プラス30円でお肉増量できることを案内して、アップセルさせること
・(ECサイトであれば)注文しようとした商品のページに、同商品のよりお得なセット商品を案内してアップセルさせること
などなど。

共通して言えることは、
購入を決めている顧客は、購入自体を肯定しているため、次の『YES』に誘導しやすい状態になっているということです。

ただし、これをECサイトでうまく活用しているお店は少なく、まだまだ対面販売でのテクニックとして活用されていること多いと言えます。

ECサイト・通販で使える一貫性の法則

つぎに、著者が過去実践してきた『ECサイト・通販で使える一貫性の法則』について、触れておきたいと思います。
一つ一つの行動に、どのような『YES』が紐付いているかを下記で解説しています。

マーケティング事例①
特定商品のみに、本日限りのクーポンを発行。さらに、サムネイル・商品ページに「最安値に挑戦中」という文言を入れる
結果:CVR+60%、客単価+10%

ここでの顧客心理を解説すると、下記の通り。
①特定商品を検索して、検索結果ページから、商品ページに到達(※商品ページに能動的に訪問しているため、「YES」を獲得している状態)
②今日限りのクーポンを見つけて、クーポン獲得(※自分の意思でクーポンを獲得しているため、「YES」を獲得)
③価格の妥当性をチェック(※最安値に挑戦中という文言により、ここが一番お得に買えそうな店舗として認識するため、「YES」を獲得)
④購入(※トータル、今日はこの店舗で変えば一番お得と思っているため、「YES」を獲得している状態)

また、上記に加えて、
商品ページに、『今、同商品の○○セットは、XXXXX円お得!』などの訴求をすることで
一定数のお客様は、クロスセルしてくれる可能性が高くなります。

大事なことは、以下に自分は理性的に買い物していると”思わせてあげること”です。
これができれば、基本的に売れないものはないです。
売れないものがあるのであれば、それは”理性的”に判断して、要らない(購入しない)と思われている商品ということです。

どうすれば、”理性的”に判断して、『購入しよう』となるのかをターゲットの心理を想像しながら、販売の設計をすることで
成功率が格段に上がります!

それでは、こうした事実を認識して一貫性の法則をビジネスに取り入れましょう。
マーケティングや営業を仕掛けるとき、お客さんに対して一貫した行動を取ってもらうように誘導するのです。
有名な手法としてはクロスセルがあります。一つの商品を売ったとき、その商品に関連する他の製品を売ることをクロスセルと呼びます。
例えば、新車を購入した後はオプションとしてカーナビやドライブレコーダーなど、多くの関連商品を売るのが基本です。
これがクロスセルの一種です。基本的に「お客さんが財布のヒモを緩めた瞬間が一番売りやすい」とされています。
これは、お客さんが購入に関して一貫した行動を取るからなのです。
この手法はECサイトなどのネットビジネスでも、リアルビジネスでも頻繁に採用されています。
例えば、以下はタッチパネルで注文する形式のとんかつ屋ですが、このように別商品を追加でおすすめすることにより、客単価を上げようとしています。

店で食事をすることを既に決めているため、お客さんは他の商品まで頼んでしまうのです。
他にもECサイトなどのネットビジネスであれば、商品決済が終わった後に他のページが表示されて「今度はこちらの商品はどうですか。
なお、このページは一度しか表示されません」のようなメッセージが出されます。
一度ページを閉じてしまうと二度と購入できないため、かなり限定性のあるメッセージを作り出すことができます。
ここに一貫性の法則が加わるため、購入確率が格段に上昇します。一貫性の法則を利用したマーケティングはあらゆる場所で活用されているのです。

一貫性の法則を応用するためには、適切なステップを踏む必要があります。
よほどニーズが高くない限りすぐに商品を購入してもらえる確率はほとんどありません。
まずは、購入に繋がりつつハードルの低い行動を促しましょう。
例えば以下のような手法が挙げられます。

・肯定しやすい質問をする
・アンケートに答えてもらう
・試供品を使ってもらう
アンケートや試供品配布は、ユーザー側の負担が低いため、利用してもらえる確率は高くなります。
ユーザーは一度行動し、立場を決めると、行動の一貫性を保ちたくなります。
すると、自然と商品購入に繋がる確率が高まります。

恋愛で使える一貫性の法則について

ここまで読んできたら、一貫性の法則が、恋愛にも有効だということが理解できると思います。

恋愛でも同様に、どんどん「YES」を取ることで、
相手が一貫性の原理に基づいた行動を取りやすくなることが、可能性としてはぐっと上がります。

例えば、上手なデートの誘い方で言えば、
・パスタ好き? → 好き
・○○ってお店知っている? → 知っている or 知らない
・今度一緒に行かない? → 行く!

みたいな感じです。

そんなうまく行かねーよって、聞こえてきそうなので、、、、
ちゃんと解説すると、
上記のパターンでデートに誘ってOKがもらえる状態としては、相手がある程度「好意」を持っている前提です。

じゃあ、相手が好意を持っていない場合のデートの誘い方はどんなものがベストかというと、
その時点でデートに誘ってはいけない、というのが一貫性の法則の観点から言えるアドバイスです。

なぜなら、そもそも自分に「好意がない」場合は、相手から肯定されていない状態(=YESが取れていない状態)だからです。
まずは、相手から、どんな「YES」を導く必要があるのかを逆算して、設計をしましょう。

まずは、どんな「YES」が取れるのか、色々質問してあげることも重要です。
質問しすぎて、うざがられても意味がないので、ここでは、著者が思うベスト設計図を載せておきます。笑

①パスタは好きですか? → 好き
②僕も好きです!よく食べに行くんですか? → 行く
③僕は○○ってお店が好きなんですが、知っていますか? → 知っている or 知らない
④そうなんですね!今度時間あったら一緒に行けたら嬉しいです。XXXさんは、お仕事何時くらいに終わるんですか? → 18時
⑤ちなみに、XXXさんは、嫌いな食べ物ありますか? → ある or ない
⑥そうなんですね、僕も○○はちょっと苦手です。XXXさん、今度タイミング合えばですが、よかったらご飯でもいきませんか?

こんな流れですかね。
重要なポイントは、④のタイミングで、肯定も否定もさせないこと。そして同じメールで絶対に返答できる質問を盛り込むことです。
この④の質問に返事があれば、ほぼ肯定している心理状況に持っていけます。
また、④で返事が来ても、好意を持っているかどうかに不安がある場合は、
⑤⑥のように、間にいくつか違う質問を盛り込んで、返事が来れば少なからず好意があるとみなして良いと思います。
そもそも、返事をしていることは、一貫性の法則の観点からいうと、「YES」を取っていることになります。(返事をしないことが「NO」という状態)
そのため、好意があるかどうかに自信がない場合は、さりげない会話で質問をしていきましょう。
返事があれば、きっとデートまでは誘えます!

一貫性の法則のまとめ

『一貫性の法則』をいざ、どの行動までが一貫性の法則なのかをを分解していくと、ほぼすべての行動が一貫性の法則に基づいていると言えます。
だからこそ心理学用語では、よく出てくる言葉なんだと、この記事をまとめながら感想をまとめています。

「YES」に誘導するのか、「NO」に誘導するのかで、
一貫性の法則に基づいて、顧客の行動が変化する可能性があるため、この原理を理解しておくことで
ビジネス・マーケティング・恋愛などの様々なシーンで広く応用できると思います。

また、一貫性の法則を、ものすごく掘り下げた記事や、書籍があまり発見出来なかったため、
こんな記事あったよ、などのございましたら、コメントいただけると幸いです。

恋愛シチュエーションの中で、デートに誘うときどう誘えばいいのかとお困りの方に必見です。
一貫性の法則を使ってデートのお誘いのOK率をアップさせましょう!
はじめから「デートしよう!」とダイレクトに申し込むことも悪くありませんが、少し下準備をすることでOKの返事がもらえる可能性があがります!
・パンケーキは好き? ⇒ 好き
・○○のパンケーキ知ってる? ⇒ 知っている or 知らない
・じゃ今度一緒に行こう!

告白するときってどうしても緊張しますよね。
タイミングを見計らったり、中々言い出せないこともあります。
そこで、一貫性の法則を使ってうまくタイミングや告白の流れを作りながら告白してみましょう!
・今日は楽しかったね ⇒ そうだね。
・また、楽しいところに行きたいね ⇒ そうだね。
・ずっと、一緒にいたいね ⇒ そうだね。
・付き合ってください ⇒ はい。
一貫性の法則を使うと同時に相手の反応も伺える!
一貫性の法則で質問する中で、相手の反応も見られるので、告白には早いと感じればもう少しデートを重ね出直すこともできます!
相手の反応が良かったら迷うことなく告白しましょう!

一貫性の法則は相手を「YES」へと導くことがポイントです。
そのため、ポジティブな内容や楽しい会話になるように心がけましょう!
さらに、「YES」が即答できるようなわかりやすい内容がベターです。
質問に疑問や回答までに悩んでしまうような内容は不向きです。
また、「何食べたい?」とか無数に回答があるような質問よりも「YES・NO」「右・左」といったどちらか一方で答えられる内容が好ましいです。

一貫性の法則・コミットメントに関連する記事はこちら

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