認知バイアス・確証バイアス・ヒューリスティックの違いと関係性

心理学を学んでいくと、必ず目にする言葉に、バイアスという言葉があり、バイアスを勉強していくと、ヒューリスティックという言葉にぶち当たった経験を持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、認知バイアスと、確証バイアスの違い、ヒューリスティックとの関係性について解説していきます。

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認知バイアスとは?
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『自分の思い込みや周囲の環境といった要因により、非合理的な判断をしてしまう心理現象』のことを指します。
そもそも、なぜこのようなバイアスという心理作用が発生するのかというと、人間は脳に余計な負担を与えないように仕組み化されていて、不安や恐怖などのストレスから身を守るために、備わった能力であり、身体的な工夫というのがわかりやすいと思います。

この認知バイアスのおかげで、私たちは日々の生活の中で、常に連続して発生する判断・選択というストレスを、あまり意識せずに、かつ合理的に行うことができるのです。
認知バイアスは、自分の経験や知識から生まれる固定概念・先入観をもとに引き起こされるため、意図的にこの認知バイアスを取り除くことは難しいと言われています。

この認知バイアスという合理的な脳の仕組みによって、時に非合理的な判断をしてしまうというところに、人間の脳の奥深さを感じます。

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確証バイアスとは?
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一方、確証バイアスとは、自分がすでに持っている先入観や仮設を肯定するために、自分にとって都合の良い情報ばかりを集めてしまう心理作用のことを指します。
そのため、確証バイアスは、認知バイアスの一種で、認知のバイアスの中に、確証バイアスが包括されているという関係性です。

よくある確証バイアスであれば、
ECサイトで見かけた特定の商品がものすごく魅力的だと感じて、Amazonや楽天でレビューをチェックする行為や、「○○ 評判」などと検索して、その商品が実際にどう評価されているかをチェックする行為も、確証バイアスと言えます。
ほとんどの人が経験あると思いますが、
一度『良い』と思った商品に関しては、人は一貫性の法則が強く働き、自分の判断が正しいという理由や根拠を見つけようとします。
これがいわゆる、確証バイアスです。
『良い』と思った商品であれば、自分に都合の良い情報を探し、自分に都合の悪い情報を排除または信用しないバイアスに陥った経験は、ほとんどの方が経験していると言えます。
例えば、Amazonや楽天のレビューに関しても、自分が『良い』と思った商品のレビューが著しく悪くても、「配送遅延などの低レビューのせいで相対的にレビュー評価が低いんだな」などのように、
自分が一度『良い』と思った商品を肯定しようとする働きが生じ、自分が合理的な判断ができていると認識すれば、商品を購入してしまいます。
これが、確証バイアスの作用です。
確証バイアスの段階になると、自分に都合の良い情報を探そうとするために、相当な反証情報がない限り、脱却は難しいと言えます。

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オレオレ詐欺にひっかかる理由も、確証バイアスの影響
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「自分だけは大丈夫」という強い信念を持っていると、「その信念を否定する証拠が無意識的に目に入らない状態」になるために、気が動転したり動揺したりすると、余計に正しい判断ができなくなるのです。
詐欺全般に言えることですが、これは怪しいという、疑惑を持つことが非常に有効であり、常に自分も詐欺にあう可能性があると思っていることが、最大の予防策になり得ます。

様々な研究結果から、客観的には30%程度で発生する現象だとしても、確証バイアスの影響により、滅多に起こらない現象(10%未満)と思い込んでしまうことが分かっています。

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ヒューリスティックとは?
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https://manager-life.net/oyakudachi/thought_mindset/post_5005/
ヒューリスティックとは、物事を直感的につかむ人間の基本特性のことを言います。

例えば、ドアノブがついたドアがあれば、押すか引くかすれば、ドアが開くことを私たちは瞬時に判断しています。
わざわざ、ドアをどうすれば開けられるか、考えたりはしないですよね?
このように物事を直感的につかむ人間の特性のことをヒューリスティックと呼び、
必ず正しい答えを導けるわけではないが、簡略化したやり方を用いて、ある程度のレベルで正解に近い答えを得る方法という意味でもあります。

また、ギリシャ語で、「見つけた」「わかった」という意味のEureka(ユーレカ)が語源とも言われています。

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行動経済学でのヒューリスティック
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ヒューリスティックは、行動経済学の世界では非常に重要な概念です。

行動経済学で用いられるときは、
「人が何らかの意思決定をするときに、完璧な分析はせずに、簡略化した思考で判断する手法」をヒューリスティックと呼び、ニュアンス的には、経験則と同義で扱われることが多いようです。

さらにわかりやすく言えば、「簡単に解けない複雑な問題に対し、自分で解けそうなより簡単な問題に置き換えて考える思考プロセス」がヒューリスティックというようです。

なんだか難しく感じますが、要は直感という意味として、捉えておけば良いかと思います。

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認知バイアスと、ヒューリスティックの違い
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同じような意味合いで使われる認知バイアスと、ヒューリスティックですが、
行動経済学的には、下記のように分類されています。

ヒューリスティックとは、直感的な思考プロセスであり、その正確性などに着目されるのに対して、
認知バイアスとは、ヒューリスティクスによって起こる判断ミスや意思決定時のバイアスに限らず、日常生活を送る中で広範囲に適用される先入観的思考のことをいうところにあります。

ヒューリスティック)
・「難しい問題を簡単な問題に置き換えて考える」という思考のプロセス
・正確性などに着目される

認知バイアス)
・ヒューリスティックによって起こる陥りやすい判断ミスを引き起こす思い込みなどのバイアス
・先入観による思考

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なぜヒューリスティックが存在するのか?
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これは、前述の「認知バイアスとは?」で解説した内容と重複しますが、
人間は脳に余計な負担を与えないように仕組み化されていて、不安や恐怖などのストレスから身を守るために、備わった能力であり、身体的な工夫というのが、認知バイアスでもあり、ヒューリスティックと言えます。

要するに、認知バイアスと、ヒューリスティックは同義語とも言えるようですが、
行動経済学的には、前述の通り、しっかりと分類されているようです。

ヒューリスティックを説明する上で、よく用いられる解説では、
人間の脳は、「システム1」と「システム2」の2種類から成り立っているという内容です。

何か行動をしたり判断をするときは、まずシステム1で処理し、
一部の複雑な問題や判断に関しては、システム2に回されます。

システム1の特徴)
深く考えず、主に経験則から勘で答えを出す
自動かつ、高速で働き、意識的な努力は必要ない
脳のエネルギーはほとんど消費しない

システム2の特徴)
システム1では答えを出せない、複雑な計算などの頭を使わなければ解決できない問題を対応する
システム1の判断が間違っていれば、却下したり、修正したりする
熟考するため、脳のエネルギーを多く消費する

システム2が全ての意思決定を処理すれば、間違えは起こりづらくなりますが、実態はほとんどシステム1で完結してしまいます。
このような役割分担になっているのは、脳の努力(負荷)を最小限にするためです。

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ヒューリスティックとアルゴリズムの違い
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あまり関係ない言葉と思うかもしれませんが、どちらの言葉も心理学では、「問題解決手段」として用いられる言葉ですが、
全く別の特徴を持つものなので、ここで整理しておきます。

ヒューリスティック)
・直感的な思考プロセスのこと
・時間をかけずに、問題を解決する
・正確性が低い場合がある

アルゴリズム)
・計算の手段や、計算の方法のこと
・定型化された手順にしたがって問題を解決していく
・時間はかかるが、正確性は高い

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ヒューリスティックに存在する4つの種類
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ヒューリスティックには主に、「代表性ヒューリスティック」「利用可能性ヒューリスティック」「アンカリングと調整のヒューリスティック」「感情ヒューリスティック」の4つのタイプがあります。
特に、3大ヒューリスティックと呼ばれる、「代表性ヒューリスティック」「利用可能性ヒューリスティック」「アンカリングと調整のヒューリスティック」を抑えておけば、ヒューリスティックについて理解していると言えるようです。
以下で、4つのヒューリスティックを詳しく紹介していきます。

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代表性ヒューリスティック
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「代表性ヒューリスティック」とは、ステレオタイプや固定概念によって判断する思考プロセスのことを指します。
よくある例えでは、「高学歴だから、仕事ができそう」「外人だから英語が喋れそう」「医者なら男性」などが挙げられます。

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利用可能性ヒューリスティック
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「利用性ヒューリスティック」とは、自分の過去の経験や記憶によって判断する思考プロセスのことを指し、
特に、確率や程度を判断する思考プロセスのことを指します。

例を挙げると、
・自分の経験から、サイコロを6回振ったら、最も1が出やすい
・コンビニと美容院は、同じくらいの数があるはず
のように、自分が経験したことや記憶によって、物事を判断してしまいます。

ちなみに、サイコロはどの目も出る確率は一緒ですが、自分の過去の経験から、このような思考プロセスが生まれてしまいます。
さらに、コンビニと美容院では、コンビニのほうが利用することも多く、自分が行動する範囲の中では目にすることも多いため、コンビニのほうが多いと思う方も多いと思いますが、
実際は、美容院はコンビニの5倍近くお店が存在しています。

入手しやすい情報をベースに脳が勝手に判断するので、CMやチラシで日常的に目にしていると、その品物を選びやすいという効果もあるようで、
時間の制限がある場面では特に、馴染みのあるものを選択する傾向が見られます。

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アンカリングと調整のヒューリスティック(固着性ヒューリスティック)
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アンカリングと調整のヒューリスティックとは、1番最初に見たり聞いたりした情報を手がかりにして推測する思考プロセスのことを指します。
「アンカリングと調整のヒューリスティック」は、「固着性ヒューリスティック」とも呼ばれ、アンカリング効果と同義語です。

身近な例では、「定価20,000円の商品が、セール価格で9,800円になっていると、安く感じる」と言ったものです。

また、無意識下で見た数値に関しても思考プロセスに影響を与えることが有名です。

引用)ルーレットを使ったアンカリング効果の実験
アンカリング効果の影響力がわかるもう一つの実験は、ノーベル経済学賞を受賞したダニエルカーネマン教授のルーレットを用いた実験です。

被験者は、0から100までの数字が書かれたルーレットを回します。このルーレットは、10か65にしか止まらない細工がしてあります。ルーレットで10が出た被験者は10と記録し、65が出た被験者は65と記録しました。

その後、被験者は以下の2つの質問を受けました。

1.国連加盟国のうちアフリカ諸国が占める割合は、今記録した数字よりも大きいか、小さいか。
2.国連加盟国のうちアフリカ諸国が占める割合は何%だと思うか。

10という数字を記録した被験者らは、国連加盟国のうちアフリカ諸国が占める割合は、平均で25%と回答しました。一方で、65を記録した被験者らは、平均で45%と回答したのです。

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感情ヒューリスティック
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感情ヒューリスティックとは、感情をベースとして判断する思考プロセスのことを指します。
自分にとってのメリットやデメリット、リスクや気分などによって物事を判断してしまう思考です。

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